第2編 物質の変化

4章 化学変化とエネルギー

1熱と温度

2 化学変化にともなうエネルギー

 

 熱と温度

【熱と温度】

物質は,周りの環境によって熱い,冷たいなどさまざまな状態を取る(例えば,80℃の水もあれば,10℃の水もある)。物質の「熱い・冷たい」の度合いを数値で表したものが〔 温度 〕である。

 図のように80℃の水と10℃の水を接触させると,時間の経過とともに80℃の水は冷め,10℃の水は温まる。最終的には同じ温度の水になる。

 
 

このとき,80℃(温度が高い)水から10℃(温度の低い)水へ〔  〕が移動したという。熱はエネルギー(物体が持っている運動をする能力)の1つである。熱は,必ず高温の物体から低温の物体へ移動する

 

【熱量】

 熱の量を示す数値を熱量という。熱量の単位はカロリー(cal)やジュール(J)が用いられる。1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量が1calである。通常,熱量の単位はジュールが用いられ,1cal4.2Jである。

 

【比熱】

 1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量が1calであるが,水と鉄では鉄の方が温度は上昇しやすい。つまり,物質によって1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は違ってくる。物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量を〔 比熱 〕といい,単位はJ/(g・℃)(ジュール毎グラム毎度)で示す。

 

例題

 20℃で水100gをビーカーAに入れ10分間加熱すると,水温は42℃になった。また,水50gの入ったビーカーBに鉄50gを入れ,Aと同じ条件で10分間加熱したところ,水の温度は40℃上昇した。熱は外部に逃げないものとする。また温度上昇による水の量の変化はないものとして次の問いに答えよ。

(1) ビーカーAの水100g10分間に得た熱量は何Jか。

(2) ビーカーBの水50gと鉄50g10分間に得た熱量は合計で何Jか。

(3) 鉄の比熱は何J/(g・℃) か。

(4) 100gの鉄の温度を200℃上昇させるのに必要な熱量何Jか。

 

(1) 水1gの温度を1℃上昇させるのに必要な熱量は1cal4.2J

   水100g422022℃上昇させるには,4.2×100×229240J

(2) 同じ条件で加熱しているので,加えられた熱量はAと同じ ⇒ 9240J

(3)  水も鉄も同じビーカー内にあるので,鉄も40℃上昇している。

50gが得た熱量+鉄50gが得た熱量=9240J

    (4.2×50×40)+ x 9240

             x 840J〕 鉄50g40℃上昇させる熱量

   鉄の比熱(鉄1g1℃上昇させる熱量)=840×(1/50)×(1/40)0.42J/(g・℃)

(4) 0.42×100×2008400J