このとき,80℃(温度が高い)水から10℃(温度の低い)水へ〔 熱 〕が移動したという。熱はエネルギー(物体が持っている運動をする能力)の1つである。熱は,必ず高温の物体から低温の物体へ移動する。
【熱量】
熱の量を示す数値を熱量という。熱量の単位はカロリー(cal)やジュール(J)が用いられる。1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量が1calである。通常,熱量の単位はジュールが用いられ,1cal=4.2Jである。
【比熱】
1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量が1calであるが,水と鉄では鉄の方が温度は上昇しやすい。つまり,物質によって1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は違ってくる。物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量を〔 比熱 〕といい,単位はJ/(g・℃)(ジュール毎グラム毎度)で示す。
例題
20℃で水100gをビーカーAに入れ10分間加熱すると,水温は42℃になった。また,水50gの入ったビーカーBに鉄50gを入れ,Aと同じ条件で10分間加熱したところ,水の温度は40℃上昇した。熱は外部に逃げないものとする。また温度上昇による水の量の変化はないものとして次の問いに答えよ。
(1) ビーカーAの水100gが10分間に得た熱量は何Jか。
(2) ビーカーBの水50gと鉄50gが10分間に得た熱量は合計で何Jか。
(3) 鉄の比熱は何J/(g・℃) か。
(4) 100gの鉄の温度を200℃上昇させるのに必要な熱量何Jか。
(1) 水1gの温度を1℃上昇させるのに必要な熱量は1cal=4.2J
水100gを42-20=22℃上昇させるには,4.2×100×22=9240〔J〕
(2) 同じ条件で加熱しているので,加えられた熱量はAと同じ ⇒ 9240〔J〕
(3)
水も鉄も同じビーカー内にあるので,鉄も40℃上昇している。
水50gが得た熱量+鉄50gが得た熱量=9240〔J〕
(4.2×50×40)+ x = 9240
x = 840〔J〕 鉄50gを40℃上昇させる熱量
鉄の比熱(鉄1gを1℃上昇させる熱量)=840×(1/50)×(1/40)=0.42〔J/(g・℃)
(4) 0.42×100×200=8400〔J〕
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